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過去の一声 

サイト開設当時から先月までの「一声」です。

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2011  04/01      11:05  日本時間 12:05

三年生の「古典の基礎」の授業で「乱れ髪」を扱った。
一学期で基本的な文法はもう学んでいる。
与謝野晶子の日本女性解放史における位置にも触れながら授業を進めた。

やは肌の あつき血汐に ふれも見で さびしからずや 道を説く君

やわはだの あつきちしおに ふれもみで さびしからずや みちをとくきみ

現代語訳例

若い女性の熱い血の通った肌に触れようともしないで道徳的なことをいうあなたは寂しくないのですか

この和歌は大学三年生(21~23歳)の女学生に強い衝撃を与えたようだ。
鉄幹の離婚、そして鉄幹との結婚。
そんな話までとりあげて淡々と説明していったのであるが、いつもより集中している。

一人の女学生が中国語に訳してきた。
「ちゃんとした詩にはできませんでしたが、意味はこれでいいでしょうか。」と。

我那柔软的肌肤下
流动着滚烫的热血
你却触摸不到
满口道德的你的心
不寂寞吗?
 

上出来である。
晶子のいわんとするところを的確に訳せている。

「図書館で『乱发』で調べれば訳文が見つけられると思いますよ。」
と言って授業を終えたのだが、数人の学生が調べてきた。
果して多くの訳文、そして英訳文まで見つけてきたのだ。
以下に挙げよう。

柔肌热血无所动,
君讲道德寂寞否?
          何乃英
 

讲道君子哟,
柔嫩肌肤空在身,
热血徒澎湃,
无人触摸无人爱,
人不亦寂寞难捱?

                          王述坤 译

你从不碰这
热血汹涌的
柔软肌肤。
你不觉闷吗,
讲道讲道?

           译者不明

你不接触柔嫩的肌肤,
也不接触灼热的血液,
只顾讲道,
岂不寂寞?

           译者不明

      You have yet to touch
      This soft flesh,
      This throbbing blood—
      Are you not lonely,
      Expounder of the Way?

      
你还没有触摸
      
这柔软的肌肤
      
这奔涌的血液--
      
难道你不孤独么
      
你这传道的人?

       
You've never explored
      this tender flesh or known
      such stormy blood.
      Do you not grow lonely, friend,
      forever preaching the Way?

      
你从未探试
      
这柔嫩的肌肤或者
      
识得如此热切的血流。
      
难道你不会越发孤独,朋友,
      
永远这么传道?

       
Rather than trying
      To touch the burning passion
      Pulsing beneath my soft
      Pale skin, you preach morality.
      Aren’t you awfully lonely?

      
不想着抚触
      
我柔嫩白洁的肌肤下
      
奔涌的血脉
      
而是进行道德说教。
      
难道你不会孤独透顶?

       
This hot tide of blood 
      beneath soft skin and you don't 
      even brush it with a fingertip 
      Aren't you lonely then 
      you who preach the Way? 

      
我柔嫩的肌肤下
      
奔涌着热血的潮汐
      
而你竟连指尖都不曾碰触。
      
难道传道的你
      
就不会觉得孤独?

折角だからこれらをQQ(中国最大のSNS)に発表した。

さてここからは注意深くお読みいただきたい。
日語科の学生ではないが、第二外国語として日本語を学んでいる学生が多くいる。
数人の学生達が授業後私を探し出してよく質問を浴びせてくるのである。
その内の一人の女学生からこんなメールが来た。(日本語、英語、中国語、ごちゃ混ぜ)

与謝野晶子は私です。
鉄幹はCrane先生です。
奥さんと離婚してくださいとは言いません。
先生が中国にいる間の「現地妻」にしてください。
愛には国境も年齢も関係ありません。
最初に先生に質問したとき、先生の眼の中に青い海を見てしまったのです。
I will throw myself into your arms , please hold me tightly !

おっとお~、以前発表したつたない英詩が引用されているよお~!
 参考までに。

  

Whoever looks into my eyes
 You will find the blue sea billowing deeply !

Whoever listens to me in my arms
 You will hear my heart beating strongly !

Anyone who cannot endure to cry
 I shall be at your side whenever !

 Whoever puts your hands in my hands
 I will hold your hands tightly !

Whoever throws yourself into my arms
 I will embrace you in my arms gently !

All who have once been my students
 You shall be my children forever !

You shall be my children forever ! とは確かに書いたけれど、
second wife とは書かなかったよお~~~!

さて、私がどんな返事を書いたか、って?
それは秘密・・・・。

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2011  04/05      14:05  日本時間 15:05

今日はLuluのことを書こう。

大学一年生、特に外国語学科の一年生は今が一番苦しいとき。
私も他の中国人の先生もたくさん宿題を出す。
単語の暗誦、教科書本文の暗誦、会話文の暗誦などたくさん暗誦を義務付けている。
特に新しい文法事項を学んだときには例文の暗誦はとても効果的なのだ。
また、会話の授業では会話文の暗誦は当たり前に義務付けている。
忘れても構わないのだ。
一度頭の中を通り過ぎた言い回しは、いつか必要なときに必ず蘇ってくるものだから。

一年生、外国語を一から学び始めてやっと半年経った今頃、
多分一番大変な時期だろうな。
「面白い!」と感じるか「もうヤダ!」と感じるか、
いずれにせよ一番苦しい第一の山場にいることは間違いなかろう。

高校時代にも随分絞られたらしい。
日本でもよく言われるが(日本では本当かもしれないが)
「大学に入れば天国だよ、自由があるよ。だから今頑張りなさい。」
と言う教師がたくさんいたらしい。
ところが現実は地獄のような毎日なのだ。

Cui Lulu (崔璐璐)という女学生がいる。
3月末にこんな日記をQQに発表した。

毎朝6時に起きて、教科書を持って外に出る。
大声で教科書を暗誦する。
授業のない時間は図書館や自習室で勉強する。
そして夜間も十時半くらいまで解放されている教室で頑張る。
彼女は今、どんなに頑張っても結果が見えてこないことに苛立っている。
自分の能力を疑い、自信を失いかけている。

こんな学生がたくさんいるのだ。
一年生の大きな壁。
それでも「頑張れ!」と励まし続けるのが教師の義務でもある。
上の日記を受けて、自分の日記にこんなことを書いた。

これは過去の苦しかった自分の学生時代に助教授から言われた言葉である。
十分頑張っている彼らをまた叱咤するのも仕事の内。

さて、中国では「清明節」というのがある。
日本のお彼岸のようなもので、お墓の掃除をして親族一同集まって墓参りをする。
4/3~4/5 三日間大学はお休みになる。
半数くらいの学生は帰省するが、三日の休みは短い。
ちょっと遠い学生は大学に残っている。

Lulu は大学に残っている口である。
親しい友人は皆帰省してしまって一人になってしまうのである。
4/1にこんなことを書いた。

「清明節の休みは淮北で三日間遊ぼう、一日目は一番街、二日目は二番街、三日目は三番街」
ボーイフレンドもなく友人もいなくなってしまう連休前の、半ば自嘲的な日記である。

ところが連休第一日目の夕にはこんなことを書いている。

‘批发市场’というのは、一番街にある大きな卸売り市場。
小売もしているのでとても人出が多いにぎやかな市場なのである。
四階建てで内部には多くの店がぎっしりと並び、通路は迷路のようになっている。
一人でふらっとウィンドウショッピンッグするには楽しいところである。

おやおや、4/1の記事は冗談ではなかったようだ。
第一日は本当に一人で一番街に出てきたのだ。
「神様!また批发市场で道に迷ってしまった、今後はもう一人で来るのはやめよう。」

4/4 連休第二日、どうせ私も散歩に出かけるから誘ってみた。
喜んで一緒に出かけたいという。
授業以外では私を「爺爺(yeye)」(おじいちゃん)と呼ぶ彼女。
孫とお爺ちゃんとは大学から歩いて30分の相山公園に出かけた。
山あり、湖あり、遊具ありのちょっとした公園で、家族連れやカップルなどで賑やかだった。
 

ここで一通り遊んだ後、喫茶店でコーヒーを飲みながら話し込んだ。
今の生活が辛いこと、将来の夢のこと、石にかじりついても頑張る決意のこと・・・。

これでガス抜きができたであろうか。

連休は今日4/5で終わる。
今頃はまた図書館で頑張っているに違いない。

そうそう、八日金曜日には私の「会話」の授業の単語のテストがあるのだ。
可愛い学生達。だからこそ手を緩めずに厳しくしてゆきたい。

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2011  04/12      21:25  日本時間 22:25

さて、Lulu の話の続きである。
誤解のないよう言っておくが、Lulu が私にとって特別な存在である訳ではない。
愛すべき学生達の中の1人に過ぎないが、今回は落ち込みがひどいのでちょっと
気になっていたのみである。

4/5の記事の最後に紹介したように、4/4夜にお礼のコメントを私に残していった。
そしてあくる4月5日、自分の日誌にまた次のように書いたのである。

友人達とのコメントの遣り取りを翻訳するような野暮はやめておこう。
どうやらガス抜きは成功したらしい。
これであのひどい落ち込みから抜け出してくれれば嬉しいのだが。
そして4月7日、ちょっとビックリするような日記を書いたのである。

「私は恋愛することにした・・・・彼はずっと私を追いかけ回していたのだけれど・・・・
 とうとうそれに応えることにしたのだ・・・・というのは、自分が実はもともと彼のことが
 大好きだったのだ、ということに気がついたからだ・・・・今私は毎日彼と一緒にいる。
 ・・・・おお!そうなのだ! 彼の名前は新編日本語教程・・・・」

「新編日本語教程」というのは教科書の名前。

どうやら立ち直ってくれたらしい。
一つの迷いを突き抜けられたようだ。
公園を散歩して喫茶店で話し込んだことが、少しでも役に立ったとしたら教師冥利に尽きる。

あくる4月8日の午後、会話の単語テストを行なった。
前回は68点でかろうじて合格した彼女、今回は90点
うん、わずか2~3日で随分頑張ったなあ。

今日の一時間目にも授業があり答案返しをした。
「頑張ったね。」と言って答案を渡した。
返ってきた輝くような満面の笑顔が眩しいほどであった。

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2011  05/26      20:20  日本時間 21:20

私の授業の一コマを書いてみよう。
写真は5月上旬に撮ったものである。

朝6:30起床。
自室で朝食をとる。
授業は途中に十分の休憩を入れて、100分が一コマ。
これを二単位時間と数える。
私の持ち時間は「週8コマ=16時間」である。

火曜日だけ朝8:00から始まる1・2時間目があり、水曜日は授業がない。
後の曜日は午後のみの授業(5・6時間目14:30~16:10、7・8時間目16:30~18:10)である。
ときどき時間割変更や補講などで、9・10時間目(19:30~21:10)もあることがある。
全寮制で職員も職住一体が原則の中国だからできることである。

宿舎を出て教室棟に向かう。
この辺りは教職員その他大学職員の宿舎が立ち並ぶ。
職員宿舎だけで10棟以上もあろうか。

小さなバラの花に蜜蜂が来ていた。

角に小さな公園がある。
ブランコやシーソーもある。
いつも日中は老人や子ども、夕方から夜にかけては学生のカップルが多い。
この朝は珍しく人が少なく、学生のカップルが一組だけいた。

キャンパスは緩やかな丘陵地帯で、外国語学部には一つ丘を越えてゆくのが近道。
私の好きな小径である。
春から秋にかけては、両側の林の中にも何組かのカップルが座って語らっている。

丘を過ぎると図書館。
南館と北館の間の道の向こうに見えるのが外国語学院の新校舎。

校舎の近くには小さな店がある。
本屋さんなのだが、文房具や飲み物、お菓子なども置いているコンビニ。

外国語学院(外国語学部)の入り口。
わが宿舎からここまで、ノンビリ歩いて15分、急げば7~8分である。

え~っと、授業風景も載せよう。
三年生、「報刊選読」の授業である。
日本から朝日新聞の朝刊を40日分持ってきた。
学生一人に一日分与えて読ませる。

新聞を使った授業は色々なパターンが考えられる。
文化欄の記事を精読して日本文化を理解したり、政治欄を読んで中国の新聞と比較したり、
その他色々な使い方があるのだが、直説法で教えている以上、中国語に訳す事はしたくない。
最後には記事の精読もするつもりであるが、今は「タイトル」の研究をさせている。

1)外出時は携帯を確認
2)基幹国道、豪雪時は封鎖
3)財政再建停滞に警告

タイトルは内容をコンパクトにまとめ、表現をそぎ落として簡潔にしてある。
それを解りやすい口語に直し、同時に記事の内容を説明する、という課題。
一コマ100分で三人が発表する。

新聞をタイトルから眺めてゆく、というこの手法は、実は企業秘密なのだが・・・。
1)は、性犯罪前科者にGPS機能付きの携帯電話を持たせるという話題。
 再犯防止と人権保護の問題を正面から扱った。

3)、「警告した」と読むならば原文は「語幹止め」だけど、
   「警告を発した」と読むならば「体言止め」である。


1)脱官僚人事芸術界注目
2)創造学園大付初戦突破
3)個人増税11年度7400億円

 助詞が一つもない。
 こんなタイトルを分析しながら記事の概要を説明するのは
 学生達にとって十分な予習が必要。
 もちろん最後には私が補足説明をするのであるが。


1)養鶏場でもインフル
2)新核軍縮条約を承認

  赤字の「軍事縮小」は「軍備縮小」の誤りである。

タイトルを中心に据えながら記事を読み込んでゆく、という私の狙いは
今のところうまく行っているようだ。
ここの三年生の学生達のレベルの高さが解っていただけるだろうか。

う~ん、苦心の策の「古典」の授業もいつか紹介しようかな・・・。

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