日本語講座 02 「誤用1・待遇表現」2010/03/07 更新

「待遇表現」というのはいわゆる「敬語」のことである。
従来は、尊敬語・謙譲語・丁寧語の三種類に分類されていたが、2007年、文化審議会が、
尊敬語・謙譲語・丁重語・丁寧語・美化語の5種類に分類するという答申を出した。
それ以外にも、尊大語・侮蔑語と呼ばれるものがあり、
それらを使った表現を大きくまとめて「待遇表現」と呼ぶのである。

こんなに複雑な待遇表現を、我々は一体どうやって身に付けるのであろうか。
「最近の言葉の乱れはひどい。」という年寄り達の嘆きの多くは、この敬語の乱れによるものが多い。

複雑な待遇表現は日本語の表現の豊かさを生んでもいるのだが、母語話者でさえ誤用が多く、
外国人学習者には極めて高い敷居になっている。

ここでは母語話者が犯しやすい誤りを集めてみた。
どこがどのように間違っているのか、どう直せば正しくなるのかをお考えいただきたい。

なお、余りにも蔓延してしまった誤用は、それと気が付かないかもしれない。

解答・解説は  をクリックしてください。

01 すみません、田中先生はおられますか。
02 田中先生ならつい先程お出かけになられましたよ。

03

失礼ですが、田中先生でございますか。
04 先生がご執筆なされた本はこちらでしょうか。
05

先生がおっしゃられたことには賛同いたしかねます。

06 先生は「不確定性原理」をお知りにならないのですね。
07 そのお洋服、とてもよく似合っていらっしゃいますね。
08 切符をお持ちしていない方は、お求め願います。
09 (他社からの電話で)その件はうちの社長に直接伺ってくださいませ。
10 (他社からの電話で)当社にいつ参られますか。
11 (急な雨で)どうぞ、この傘をお持ちしてください。
12 (社内会議で課長が)今社長が申されたことには賛成できません。
13 (喫茶店でウェイトレスが)ご注文は何にいたしますか。
14 これは当店をご利用されているお客様へのプレゼントです。
15 (和菓子屋で)生ものですので、本日中にいただいてくださいますよう。
16 (お世辞を言われて)まあ、とんでもございませんわ。

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問題1 解答・解説

すみません、田中先生はおられますか。

謙譲語の尊敬表現、という矛盾した用法である。

「おる」 は、「いる」の謙譲語、またはぞんざいな用法である。
  例  「ここにおります」は、謙譲語
      「ここにおれ!」は目下に対する命令であり、ぞんざいな表現。
     いずれにせよ、敬意を払うべき相手に使用するのは誤りである。

「〜れる/られる」を使った敬語表現もある。
  「おる」にこの敬語表現を使えば、「おられる」となるわけだが、「おる」そのものが失礼なのだから、
  「おられる」は矛盾している。

ここでは「いる」の敬語「いらっしゃる」を使わなくてはならない。

この問題では、

「すみません、田中先生はいらっしゃいますか。」

これが正解。

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問題2 解答・解説

田中先生ならつい先程お出かけになられましたよ。

これは過剰敬語(二重敬語)である。

「お/ご+動詞連用形+になる」 で十分尊敬表現になる。
  例  「お食べになる」「お発ちになる」

「〜れる/られる」を使った敬語表現もある。
  例  「食べられる」「発たれる」

両方混在させて使った「お食べになられる」過剰な敬語表現であり、避けなければならない。

この問題では、

田中先生ならつい先程お出かけになりましたよ。
田中先生ならつい先程出かけられましたよ。

のいずれかで十分なのである。
より丁寧に言おうとする余り、このような過剰敬語を使ってしまうことに、注意を払いたいものである。

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問題3 解答・解説

失礼ですが、田中先生でございますか。

「ござる」は謙譲語、現代語での「ございます。」は、自分及び身内のことに対して使う。

「私の家はここでございます」「わが社は創業30年目でございます。
「私が参ればよろしゅうございますか。

敬意を払うべき相手に「ございます」を使うのは失礼である。
「謙譲語」を「尊敬語」と誤解して使った表現であり、多用される誤用である。

言わんとする正しい敬語表現は、

「失礼ですが、田中先生でいらっしゃいますか。

である。

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問題4 解答・解説

先生がご執筆なされた本はこちらでしょうか。

これも「過剰敬語」である。

「ご〜になる」と「〜される」の混用である

言わんとする正しい敬語表現は、
「先生がご執筆になった本はこちらでしょうか。」
「先生が執筆された本はこちらでしょうか。」

であるが、上の方がやや尊敬度が高いであろう。

「先生が執筆なされた本はこちらでしょうか。」
これは「な」が多いような気もするが、許容範囲かもしれない。

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問題5 解答・解説

先生がおっしゃられたことには賛同いたしかねます。

もう慣れましたでしょうか。
これも「過剰敬語」である。

「仰る(おっしゃる)」はもともと「言う」の尊敬語である。
それに「〜れる/られる」による尊敬表現を付け加えた二重敬語である

言わんとする正しい敬語表現は、
a 「先生がおっしゃったことには賛同いたしかねます。」

「言う」+「れる/られる」を使った。
b 「先生が言われたことには賛同いたしかねます。」

これも形式上尊敬表現ではあるが、「言う」に対して折角「おっしゃる」があるのだから、
a の方が好ましい。

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問題6 解答・解説

先生は「不確定性原理」をお知りにならないのですね。

これは「過剰敬語」ではない。
使用語彙が不適切なのである。

「知る」には「れる/られる」を用いた敬語表現「知られる」がないわけではない
これは「新しい知識を得る」という意味の「知る」だけに用いられる。

お知りになる」も同様の意味には使用可能である。

「この本をお読みになれば、きっとハイチの惨状を知られる/お知りになると思います。」
しかし、いかにも不自然な印象を否めない。
「この本をお読みになれば、きっとハイチの惨状をご理解になると思います。」
の方が適切であろう。

さて、この問題文では「知る」を上記の意味ではなく、「知っている」という意味で使用している。
「知識がある」という意味の「知っている」には、ちゃんと「ご存知」という敬語表現がある。

よって本問題の言わんとする正しい敬語表現は、

先生は「不確定性原理」をご存知ないのですね。

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問題7 解答・解説

そのお洋服、とてもよく似合っていらっしゃいますね。

これは「過剰敬語」ではない。
敬語の対象が不適切なのである。
でも、その間違いを実感することが難しいくらいこの種の誤用は世間に浸透している。

「いる」をすべて「いらっしゃる」にすれば敬語になると言うわけではない。
相手の持ち物に美化語を使うことは多い。
この例では「洋服」。

しかし、例えば次の例などはいかがであろう。

a 「ちょっと、靴ひもがほどけていますよ。」を丁寧に言おうとして、
b 「ちょっと、靴ひもがほどけていらっしゃいますよ。
と言ってしまう。

これに違和感がなければ、敬語感覚に問題があるかも知れないのだ。
相手に対して敬意を払うために、相手の事物に美化語や丁寧語を使うこともある。
足を怪我をした相手を気遣って、「おみ足はいかがですか。」
これは良い。問題ない。

しかし、ハンドバッグから携帯電話が今にもズリ落ちそうな相手にたいして、
c 「あ、携帯電話がお落ちになりますわよ!」
これはどうであろう。
さすがにおかしいとは思いませんか。
相手に対してではなく、「携帯電話」に敬語を使っているのである。
まるで携帯電話がお偉い物であるかのように。

b では「靴ひも」が、c では「携帯電話」が、それぞれ「敬意の対象」になってしまっているのだ。

本題もこの種の誤用なのである。
「似合っている」のは「洋服」である。
ここで「いる」を「いらっしゃる」とすると、「洋服」が敬意の対象になってしまうのである。

「そのお洋服、とてもよく似合っていらっしゃいますね。」
これは相手ではなく、洋服に対して敬語を使っていることになるのだ。

この現象を避けるためには、洋服に対して「いらっしゃる」を使わなければよい。

正しい敬語表現は、

そのお洋服、とてもよく似合いですね。

これでよいのである。

P.S.

特定の社会に於いては、この種の敬語を多用する場合がある。

 「わあ〜奥様、お宅のこの吹き抜け、天井が本当に高くていらっしゃるわね。素敵ですわあ〜。」
 「シャンデリアもフランス製でいらっしゃるのね、ご趣味もおよろしいこと。」

天井やシャンデリアを尊敬してどうする! という感じがするのであるが、
「相手に属するものには何でも敬語表現を使ってしまう。」
こんな社会が存在することも事実。

普通の社会の共通語では本来誤りとされるので注意されたし。

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問題8 解答・解説

切符をお持ちしていない方は、お求め願います。

「お持ちする」は、「持ってあげる」の謙譲語である。
「こちらの大きいカバンは私がお持ちします。」

「あれ? 資料の入ったカバンは?」
「はい、私がお持ちしております。」

相手のために自分が持つ。
そういう場合に使うのである。

切符は誰のためにお持ちしているのだろう。

相手が何かを持っていることを表現する敬語は「お持ちになる」である。

この問題の正しい表現は、

「切符をお持ちでない方は、お求め願います。」

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問題9 解答・解説

(他社からの電話で)その件はうちの社長に直接伺ってくださいませ。

この場合の「伺う」は、「聞く・問う」の謙譲語である。(他に「訪問する」もある)
「ちょっとお伺いしますが・・・」のように自分の動作について使うのである。
相手に「伺ってください」などというのは失礼である。(ませ、がついてもダメ)
こんな電話の遣り取りが本当にあったならば、商談もご破算になってしまうだろう。

真意は、「こちらの社長に直接問い合わせて欲しい」コトにあるのである。

この問題の望ましい表現は、

「その件は社長に直接お問い合わせくださいませ。」
情況によりけりだが、
「ただいま社長室におつなぎしますので少々お待ち願います。」、や
「折り返し社長からお電話さしあげます。」
くらいは付け加えたいものだ。

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問題10 解答・解説

(他社からの電話で)当社にいつ参られますか。

「参る」は、「行く・訪問する」の謙譲語である。
「明日参ります。」のように自分の動作について使うのである。
「れる/られる」を使った尊敬表現を使っても失礼なことは変わらない。
こんな電話の遣り取りが本当にあったならば、商談もご破算になってしまうだろう。

真意は、「こちらの会社にいつ来てくれるのかを教えて欲しい」コトにあるのである。

この問題の望ましい表現は、

「当社にいついらっしゃいますでしょうか。」
「当社にいつおいでになるでしょうか。」

情況によりけりだが、
「いつご来社いただけるでしょうか。」
もありうるだろう。

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問題11 解答・解説

(急な雨で)どうぞ、この傘をお持ちしてください。

8番と同じく、謙譲語と尊敬語の混乱である。
「お持ちする」は謙譲語・・・自分の動作
「お持ちになる」は尊敬語・・・相手の動作

この問題の望ましい表現は、

「どうぞ、この傘をお持ちになってください。」
あるいは
「どうぞ、この傘をお持ちください。」

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問題12 解答・解説

今社長が申されたことには賛成できません。

これも謙譲語と尊敬語の混乱であり、誤用例は非常に多い。
「申す」は「言う」の謙譲語・・・目下から目上に何かを言うこと。
社長がトップであるとすれば、課長が社長に「申し上げる」ことはあっても
社長が「申す」相手はないわけである。

社長が部下に向かって「何を申すか!」は問題ないわけである。

「言う」には、尊敬語「おっしゃる」がある。
この問題の望ましい表現は、

「今社長がおっしゃったことには賛成できません。」

後半も気になるならば、
「今社長がおっしゃったことには賛成いたしかねます。」

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問題13 解答・解説

ご注文は何にいたしますか。

これも謙譲語と尊敬語、丁寧語の混乱であるり、誤用例は多い。
「する」の謙譲語は、「いたす」・・・「私がいたします。」
「する」の尊敬語は、「なさる」・・・「先生がなさいました。」

単純明快である。
この問題の正しい表現は、

「ご注文は何になさいますか。」

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問題14 解答・解説

これは当店をご利用されているお客様へのプレゼントです。

もう慣れましたでしょうか。
これも「過剰敬語」である。

「ご利用になる」・・・「ご〜になる」の敬語形式
「利用される」  ・・・「れる/られる」の敬語形式
この一方で十分なのだ。

単純明快である。
この問題の正しい表現は、

「これは当店をご利用になっているお客様へのプレゼントです。」
または、
「これは当店を利用されているお客様へのプレゼントです。」

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問題15 解答・解説

生ものですので、本日中にいただいてくださいますよう。

これは語彙の誤用である。

問題の意図からすると、この「いただく」は「食べる」の意味で使われている。
その場合「いただく」は「食べる」の謙譲語である。

「いただきます。」という食事前の決まり文句は、「ありがたく食べさせていただきます。」が本義である。
自分が食べるのが「いただく」であり、相手が食べるのは「召し上がる」なのだ。

単純明快である。
この問題の正しい表現は、

「生ものですので、本日中に召し上がってくださいますよう。」
なお、
「生ものですので、本日中にお召し上がりくださいますよう。」
はちょっと丁寧すぎる感もあるが、許容範囲。

ただし、
「生ものですので、本日中にお召し上がりになってくださいますよう。」
これは、「召し上がる」+「お〜になる」の二重敬語である。

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問題16 解答・解説

まあ、とんでもございませんわ。

これは「ない」の種類に関する誤用である。
実は、「まあ、とんでもありませんわ。」も誤用なのである。

とんでもない」の「ない」の正体を明かそう。

○まず、ありなしを表すときの「ない」・・・食べるものがない
  これは、「食べるものがありません」、「食べるものがございません
  どちらも誤用ではない。普通に丁寧体、謙譲語として使われる。

○次に、形容詞(イ形容詞)の否定形の「ない」・・・美しくない
  
これも「美しくありません」、「美しくございません」のように使用できる。

○形容動詞(ナ形容詞)、名詞文の否定形の「ない」・・・静かでない、花でない
  これも
 「静かでありません」「花でありません」「静かでございません」「花でございません

ここまでの「ない」は「ありません」「ございません」と言い換えることができる

○動詞の場合はどうか。・・・ 「走る」の否定形「走らない
  この「ない」は言いかえができるであろうか。
  「*走らありません」「*走らございません

動詞の否定の「ない」は、「ありません」「ございません」に言い換えることはできない

さてここで「とんでもない」を考える前にもう一種類の「ない」を挙げておかなければならない。

否定ではなく、もともと形容詞の語尾であるない
 例 「あどけない」・・・これは「あどけ」が「ない」のではない。
   本来一語の「あどけない」という形容詞なのだ

   これを「あどけありません」とか「あどけございません」とかいうことができるであろうか。
   もともとこの中の「ない」は否定の意味ではないのだから、
   「ありません」「ございません」と言い換えることは不可能なのだ。

 このように、本来語尾に「ない」を持っている形容詞はまだまだあるのだ。
   あぶない・おさない・あえない・しどけない・あっけない・おっかない・いたいけない
   きたない・くちぎたない・えげつない・がんぜない・ぎこちない・こころもとない・しがない
   すくない・せつない・せわしない・だらしない・つたない・つつがない・つれない・はかない
   はしたない・みっともない・ろくでもない・・・・

 これらはいずれも語尾の「ない」を「ありません」「ございません」と言い換えることはできない
 もし使ったならば、それは「誤用」である。

 「あぶございません」「おさございません」「あっけございません」「こころもとございません」・・・

本題に戻ろう。

 「とんでもない」は、この最後の形容詞の仲間なのである。
 「とんでも」+「ない」 でも、
 「とんで」+「も」+「ない」 でもない、もともと「とんでもない」という一語の形容詞なのである。

さて、「とんでもございません」が誤用であることはお解かりいただけたであろうか。

ならばどのように言うのが正しいのか。
残念ながら形容詞の敬語表現は非常に表現力が弱いのである。
「貴女は美しい。」
これをうまく言い表す敬語表現はない、と言っても良いくらいである。
「貴女は美しゅうございます」・・・「ございます」は謙譲語だからダメ。
「貴女は美しくいらっしゃいます」「貴女は美しくあらせられます。」・・・(まるで貴族?)

どうも、ちょうどよい敬語表現が見付からない、というのが現代日本語の問題点でもあるのだ。

困ったことであるが正解はどうしようか。

(お世辞を言われて)「まあ、とんでもないことでございます。」・・・・こんなところでしょう。

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