日本語講座 06 「誤用5・激怒!」2010/04/17 更新

こんなことを言われては激怒してしまうかも。

どこが誤りで相手をおこらせてしまうのか、どう言い換えればいいのでしょう。

まあ、7番などは怒りも湧いてきませんがね。どうせわたしはそんなものでしょう・・・。

解答・解説はをクリックしてください。

01 (部下の女性に)君は尻が軽いね、どんな仕事も嫌がらないし、よく気が利くし。
02 先生を心から尊敬しています。先生の生き様を見本にしたいと思います。

03

お嬢さん、名取になられたんですって? さすが蛙の子は蛙ね。
04 パーティーの準備もうできたの? 本当に抜け目なく周到ね。
05

この原稿にお眼をお通しいただき、ご好評を賜りますよう。

06 「お煎茶にしましょうか、それともコーヒーになさいますか。」「煎茶で結構です。」
07 本当に困っております。わらにもすがる思いで参りました、お助けください!
08 部長、部長のご冗談や洒落にはいつも笑わされて片腹痛いですよ。
09 本日はご来臨いただいたのみならず「寸志」までいただき恐縮に存じます。
10 三年かかってやっと本が完成したので、「贈呈 田中先生」と書いて恩師に届けた。

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問題1       (部下の女性に)君は尻が軽いね、どんな仕事も嫌がらないし、よく気が利くし。

「尻が軽い」は大辞泉によれば、

   1 気軽に物事を始める。また、動作が活発・軽快である。

    行いが軽々しい。軽はずみである。

    女性が浮気である。

とある。
この人は、のつもりで言ったのであろう。
必ずしも誤用とは言い切れないのである。
とくに男性に対して言う分には多分問題ないであろう。
類義語に「腰が軽い」がある。
これには3の意味はない。

反意語は「腰が重い」。
なかなか行動しないことを表す。

しかし、、の意味がある。
聞いた相手がそちらの意味、特にの意味に受け取ってしまえば大問題である。
セクハラ問題に発展してしまう可能性だってあるのだ。

女性に対して「尻が軽い」は禁句である。

「君は腰が軽いね、どんな仕事も嫌がらないし、よく気が利くし。」

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問題2       先生を心から尊敬しています。先生の生き様見本にしたいと思います。

「生き様」は大辞泉によれば次のようにある。   

《「死に様(ざま)」からの連想でできた語とされる》
その人が生きていく態度・ありさま。生き方。
「はげしい―を描く」 

「ザマをみろ。」「なんだ、その有様は。」など、
「〜様」は、よくない、否定的なニュアンスで使われることが多い。
また「壮絶な生き様」のように、あまり手本にはしたくない場合が多いであろう。
誤用、とまでは言えないとしても「先生の生き様」という表現に抵抗感のある人も多いだろう。

ここは「生き方」の方が無難。

次に「見本」
「手本」「見本」「標本」などが思い浮かぶが、学びたいならば「手本」であろう。
「生き方の見本」ではやっぱり失礼であろう。

先生を心から尊敬しています。先生の生き方お手本にしたいと思います。

 

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問題3      お嬢さん、名取になられたんですって? さすが蛙の子は蛙ね。

「蛙の子は蛙」の意味を勘違いしている。
親と子供の両方を誉めているつもりが、両方けなすことになる。
「ろくでもない親からはろくでもない子供しか生まれない。」
「凡人の子は凡人にしかなれないものだ。」
という意味であり、誉め言葉としては使えない。

ここでは「血は争えない」「血筋は争えない」の方が評価が含まれていないので安全。
それでも心配ならば単純に「血筋」で。

「お嬢さん、名取になられたんですって? さすが血筋ね。」

なお、「鳶が鷹をうんだ」は、子供を誉めてはいるが、親はけなしていることになる。

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問題4      パーティーの準備もうできたの? 本当に抜け目なく周到ね。

「抜け目がない」は、大辞林にはこうある。
(自分の利益になることに)よく気がついて、手抜かりなく、ずるがしこく立ち回るさま。
「ずるがしこい」のである。
まるで出世のために上司に気に入られようとしているかのようである。

「手抜かり」はこうある。
物事を行う上で、手続き・方法などに欠陥があること。手落ち。

「パーティーの準備もうできたの? 本当に手抜かりなく周到ね。」

どうも「手抜かりがない」と「周到」が重言っぽい。

「パーティーの準備もうできたの? 本当に手抜かりがないわね。」

「パーティーの準備もうできたの? 本当に用意周到ね。」

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問題5      この原稿にお眼をお通しいただき、ご好評を賜りますよう。

とんでもないミスである。
ワープロの誤変換に気がつかなかったようなミス。

大辞林にはこうある。
評判のよいこと。また、よい評判。
⇔悪評
⇔不評

確かに、「良い、肯定的な批評」が欲しいのはその通りであろうが使い方が違う。
出版してから世間の評判が良いときなどに「好評を博す」などと使う言葉。

この問題の場合は、目上の専門家などに批評してもらいたいのであろう。
そんなときには「御高評」を使いたい。
敬うべき相手の批評を指す言葉である。

和語には「ご」、漢語には「御」という原則にも従っておこう。

「この原稿にお眼をお通しいただき、御高評を賜りますよう。」

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問題6      「お煎茶にしましょうか、それともコーヒーになさいますか。」「煎茶で結構です。」

これもうっかりミスである。
お茶がありきたりの飲み物で、わざわざコーヒーを入れてもらうには及ばない、
という謙譲表現のつもりであろう。

お茶を水代わりに飲む、そんな気楽な飲み物である場合も確かにある。
ところが、「お茶」というのは恐いのである。
「茶道」にのっとって一服お手前をいただくことになるやも知れぬ。

さらにここでは「お茶」ではなく、わざわざ「お煎茶」と言っているのである。
ただ「お茶」と言われたときよりも気をつけないといけない。
煎茶には「煎茶道」という格式の高い「道(どう)」があるのだ。
それを知らないと恥をかくやも知れぬ。

いずれにせよ「〜で結構です。」は、色々な場面で注意を払ったほうが良い。
プロポーズをするとき。
「結婚してください!」
「え、私でいいの?」
「はい、貴女でいいです。」

これでは振られても仕方がないであろう。

「お煎茶にしましょうか、それともコーヒーになさいますか。」
「はい、では煎茶をいただきます。」
(もちろんコーヒーでもよいのだが。)

なお、一般に煎茶道で使われる茶碗は小ぶりである。
小ぶりの茶碗が出てきたら「煎茶道」だと心得よう。
しかし細かい作法などは知らなくても大丈夫。
大切なことは二点だけ
とにかく一緒に出される和菓子を先にいただくこと。
つぎに「お次はいかがですか?」とか「お代わりはいかがですか?」と聞かれる。
これを断ってはいけない、会釈をして「いただきます。」と言えばよい。

煎茶は二煎目が一番美味しいのだ。いただくのが作法にもなっている。
お代わりをいただけば、ちょっと「通」の仲間入りである。
なお、三杯目はお受けしてもいいし、遠慮しても構わない。

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問題7      本当に困っております。わらにもすがる思いで参りました、お助けください!

とんでもない誤用である。

「溺れる者は藁をも掴む」から派生した言い方であり、
≪せっぱつまったときには、頼りにならないものでも頼りにすることのたとえ。≫ 大辞泉
なのである。

せっぱつまって頼みに来たのであろうが、「頼りにならないものでも」なのだ。
なんだ、オレは藁か!

もうちょっと言い方があるだろうに、この無礼者めが。

「本当に困っております。もう先生以外に頼りにできるお方はありません、お助けください!」

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問題8      部長、部長のご冗談や洒落にはいつも笑わされて片腹痛いですよ。

とんでもない誤用である。

大辞林には次のようにある。

かたはらいた・し
中世以降、文語形容詞「傍(かたはら)いたし」の「かたはら」を「片腹」と誤ってできた語
身のほどを知らない相手の態度がおかしくてたまらない。
ちゃんちゃらおかしい。
笑止千万だ。


「抱腹」は、

【棒腹】
「捧」はかかえる意。「抱腹」は後世生じた用字
腹をかかえて大笑いする・こと(さま)。

「部長、部長のご冗談や洒落にはいつも笑わされて抱腹していますよ。」
これは「笑わされる」と「抱腹する」が重言。

「部長、部長のご冗談や洒落にはいつも抱腹していますよ。」

もっと単純に、

「部長、部長のご冗談や洒落にはいつも笑わされていますよ。」

でも十分であろう。

まあ、「笑いすぎてお腹が痛い」のつもりだと解釈すれば、

「部長、部長のご冗談や洒落にはいつも笑わされてお腹が痛いですよ。」

もありかもしれない。

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問題9      本日はご来臨いただいたのみならず「寸志」までいただき恐縮に存じます。

失礼極まりない誤用である。

大辞林には次のようにある。

寸志
[1]少しの気持ち。わずかの厚意。自分の気持ちをへりくだっていうことが多い。
[2]心ばかりの贈り物。
[3]少しの気持ち。わずかの厚意。自分の気持ちをへりくだっていうことが多い。

ホンのささやかな気持だ、と自分のことを言う言葉である。

相手の気持をありがたく思う場合は、

芳志
相手の親切な心遣い・気持ちを敬っていう語。芳心。

厚志
情の厚い心。親切な気持ち。相手の好意などに対していう。

「こころざし」
というのもある。

「本日はご来臨いただいたのみならずご芳志までたまわり恐縮に存じます。」
「本日はご来臨いただいたのみならずご厚志までたまわり恐縮に存じます。」
「本日はご来臨いただいたのみならず
おこころざしまでいただき恐縮に存じます。」

漢語の「芳志・厚志」には「たまわり」が、
和語の「こころざし」には「いただき」が似合うのでないか。(これは私見であるが。)

なお、似たような誤用に、「〜粗品までいただき〜」がある。

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問題10      三年かかってやっと本が完成したので、「贈呈 田中先生」と書いて恩師に届けた。

最近では誤用という認識もなく使われるようであるが、厳密には誤用である。
辞書でも目上にも使用可能なような表現があるが、本来は目上に対して使うのは失礼。

「進呈」も怪しい。
ここは「謹呈」が一番安全。

三年かかってやっと本が完成したので、「謹呈 田中先生」と書いて恩師に届けた。

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