レーザー二次曲線
レーザーポインターで描いた妖しく輝く二次曲線
10月のある日レーザーポインターを手に入れた。
電池で働く、携帯用のダイオードレーザー光線発生器である。
真っ赤な細いビームの光線が結構遠くまで届く。
夜間ならば200m程度までは十分届くのである。
このレーザーポインターを使って「二次曲線」を描くことができ、写真撮影に成功した。
これがレーザーポインター |
まずは、「円」 |
![]() |
「楕円」 |
「放物線」 |
![]() |
![]() |
事のいきさつ
手に入れた当初、何でもかんでも照らして遊んでいたのである。
二枚重なったガラスに斜めに当てると、意外な見え方をするなど、ちょっとした発見が
いくつかあった。
進路指導室の片隅に吊り看板のスタンドが置いてあった。
![]() |
なんとなくあちこち照らしていたレーザー光線が、そのスタンド付近を通過した瞬間、
直線的に動いていた軌跡が、一瞬「楕円」を描いたのである。
「え!今のは何だ?」という感じであった。
再現しようと試み、今動かしたように何度か動かしてみた。
光線があの「スタンド」の金属の横棒に当たった瞬間、後ろのダンボール上にクルッと
楕円が描かれるのである。
軽いめまいを覚えるような衝撃であった。
赤い軌跡は合成画像です。 |
![]() |
写真を撮ろうとしたのであるが、だめだった。
「軌跡」は確かに楕円を描いているのに違いないが、写真に撮るとほとんど一点しか
写らないのだ。
どうして楕円を描くのか、円や放物線、双曲線も描けないか。
当てる角度や、スタンドの位置を変えることによって、円や放物線、双曲線を描くことは
一日を要せず、すぐにできた。
しかし、写真撮影に成功するまでには二週間を要したのである。
ほんのちょっとした工夫であるが、成功したときには興奮した。
考察
平面に垂直に立てた金属の円柱(アルミパイプ、ドライバーの軸、釘など何でもよい)に
斜め上からレーザー光線を当てると、軌跡は円を描く。
![]() |
![]() |
図1は水平面での軌跡の様子である。(断面付近の拡大イメージ)
は中心に向かって入射したとき、
は縁をかすめるように入射したときである。
はその途中の点に入射した場合である。
図2は垂直面で見た場合である。
と
の角度は入射角と等しくθであることはあきらかである。
の場合の反射方向、金属棒と反射光線のなす角について考察してみた。
![]() |
円柱に斜めに入射した光線の反射点をOとし、 Oを含む円柱の接平面を考える。 入射光線上に点P、反射光線上に点Qを、 OP=OQ、となるようにとる。 点Oでの反射は、接平面での反射と考えてもよい。 接平面にPから下ろした垂線の足をH1、 Qから下ろした垂線の足をH2とする。 入射角と反射角は等しくαであり、 PH1=OPsinα、QH2=OQsinα、OP=OQより、 PH1=QH2 ・・・ ア OH1=OPcosα、OH2=OQcosα、OP=OQより、 OH1=OH2 ・・・ イ 直線H1H2がOを通ることは自明であり、 ∠AOH1=∠BOH2 ・・・ ウ 共に直角三角形であるので、イウより、 三角形AOH1と三角形BOH2は合同であり、 AH1=BH2 ・・・ エ 同じく共に直角三角形であるので、アエより、 三角形APH1と三角形BQH2は合同であり、 AP=BQ ・・・ オ ここで、AP=OPsinθ1、BQ=OQsinθ2 であり、 OP=OQ、オ より、sinθ1=sinθ2 共に鋭角であるので、θ1=θ2 |
これは図1のφに依らず成り立つ。
このことから次の事が言える。
円柱の直径が十分に細ければ直線ABは円柱の中心軸とみなしてよいので、
入射光線が円柱のどの点で反射しても、
中心軸と反射光線のなす角は一定であり、中心軸と入射光線のなす角に等しい。
![]() |
すなわち、 円柱の直径が十分に細ければ、 入射光線を円柱の直径分わずかに平行移動したとき、 反射光線は、 図4のように、反射点を頂点とする円錐の母線を描く。 そして、受光面には「円」が描かれる。 |
ここで受光面(または円柱) を斜めにすれば、 円錐を斜めに切ったことになり、 楕円、放物線、双曲線も描くことが できるわけである。 |
![]() |
![]() |
![]() |
写真撮影
単純なことであった。
レーザー光線のビームには太さがある。
この「ビームの太さ」よりも「円柱の直径」がわずかでも小さければよいのである。
![]() |
ビームが直径全体を覆えば良い。 |
図1のから
、
、更には上側のギリギリまで、すべての反射が同時に存在できる!
私のレーザーポインターのビームの断面は円ではなかった。
縦1mm、横3mm程の長方形に近いのである。
直径3mm以下の金属の棒をさがせばよい!
ステンレスの釘がないかと捜したが見つからなかった。
見つけたのは、直径2.5mmの「目打ち」(千枚通し)であった。
木の板に目打ちを突き刺し、斜めに、ビームが直径方向を覆うように照射する。
![]() |
![]() |
真っ暗でなくても見えるのだが、真っ暗のほうが「妖しく美しい」光景になるのだ。
電気を消し、手がぶれないように気をつけながらビームを当てる。
それを真上から構えたデジカメで撮影したのである。
(この作業は一人ではできない。かみさんに撮ってもらった。)
サークルにて
11月10日の西三数学サークルの例会で実演し、大変好評であった。
真っ暗な中に鮮やかな放物線が現れた時、歓声があがった。
円が現れている時、薦田さんが「そうだ!」と言ってタバコの煙を吹きかけた。
ギラギラ輝いている円の上に、「ぼわーっと真っ赤な円錐」が浮かんだのである。
幻想的な素晴らしい光景だった。
残念ながらその写真はない。
簡単に追試出来る事ですから、是非「ライヴ」で楽しんでみてほしい。
もう一度写真を見る
戻るにはブラウザーの『戻る』をお使いください。